2008年 12月 01日
アメッド(続き) |
さて、絶景の海の前でビールを飲みながら脳内不純物(考えのまとまらないモヤモヤや悩んでも仕方の無いイライラ)を浄化した翌朝、朝食のオーダーを取りに来た従業員に話しかけられた。
「今日のご予定は?」
「ないよ。いや、ある。海を見ながらビールを飲む!」
「…ダイビングはされないんですか?」
「免許を持っていない」
「シュノーケリングは?」
「興味ないなぁ」
「…ダイビングもシュノーケリングもしないなんて…アメッドに来た意味ありませんよ?」
「いいんだよ。この景色だけでも充分だ」
朝食を済まし、再びベランダで脳内不純物の浄化(ぼーっとするだけ)を行っていると、隣人が話しかけてきた。
「もう潜ってみました?」
「いや、ダイビングの免許は持っていないんでね」
「それは残念です…この沖は回遊魚のルートになっていて、マグロの群れや、鯨も通過するんですよ」
「ほ~…」
「ナポレオン・フィッシュに遭遇することもありますよ」
「はぁ~…」
「とにかく豊かな海なんですよ」
「ふ~ん…」
「せめてシュノーケリングだけでもしてみてはいかがですか?」
「いや、この景色があれば充分だよ」
「そんな、もったい無い…シュノーケリングすらしないなんて、アメッドに来た意味ありませんよ?」
「…」
「ビーチからのエントリーでも充分楽しめますから、絶対に試してみるべきです!」
「あ、そう。考えておくよ」
若干、めんどくせぇなぁ、と思いつつ、昼ビールを飲むために近所のカフェに出かけた。ここからの眺めもまた絶景である。俺の部屋からは見えない海岸線が、ここからは20メートル近く下に望むことが出来る。
生ビンタンを飲みながらぼ~っとしていると、若い従業員が話しかけてきた。
「ダイビングはしないんですか?(またかよ)」
「ライセンス持っていないし」
「シュノーケリングはしましたか?(またまたかよ)」
「いや」
「…何しにアメッドに来たんですか?(決まり文句かよ!)」
「海を見ながらこいつ(ビール)を飲むために来たんだよ!」
うざったいなぁ、と思いつつ、沖を眺めていると、海岸から離れた沖合で、何かがブシューと水煙を吹き上げた…
「あ、あれ…」
「え?何ですか?」
「あれ、もしかして鯨?」
「ああ、そうですね」
「よく見られるの?」
「ええ。しょっちゅうですよ」
「は~…」
遠くからとはいえ、野生の鯨を見たのは初めてである。ちょっと感動。
ふと眼下の海岸線に目を転じると、透明度の高い海のあちこちに岩のようなものが見える。
「あのさ」
「え、なんですか?」
「あの岩みたいなもの、もしかして珊瑚礁?」
「ええ、そうですよ。ほら、お客さんがシュノーケリングしてます」
よくよく目を凝らしてみると、魚が群れを成して珊瑚礁の周囲を移動しているのがわかる…
俺の胸の奥で何かがざわざわと動き始まった…
いかん…いかん…この海は俺を呼んでいる…
決めた!
宿に戻り、従業員と相談。
「シュノーケリングをやってみたい」
「その気になりましたか」
「いいポイントをおしえてくれ」
「ビーチからのエントリーでも充分な場所があります。ご案内しましょう」
「よろしく頼む」
従業員の運転するバイクで連れて行かれたビーチはホテルから10分程。宿で借りた装備を装着し、エントリー。
そこには、俺の予想をはるかに超えた素晴らしい光景が広がっていた!!岸から10メートル程度離れただけで色鮮やかな珊瑚の群生。子供の頃図鑑で見ていた熱帯魚がうようよ。見たこともない熱帯魚もひらひら。砂地にはガーデン・イールが海草のように揺れ、コバルトスズメダイは俺の眼下を群れをなして舞踊り、色も鮮やかなベラ科の魚、カワハギ科の魚の種類も豊富、チョウチョウウオの類に関しては何をかいわんや。ひときわサイケデリックな模様のブダイの一種、長さ50センチ程のオレンジ色のヘラヤガラが目の前を横切り、エイは砂地を滑るように泳ぐ。
結局、1時間ほどの短い時間で2回エントリーし、存分に楽しんできた。いったい何十種類の魚、そして何千匹の魚を見たんだろう?いや、もしかしたら万を超えているかも。写真が無いのが残念である。
実は、過去に一回だけバリの某地で同じくビーチからのエントリーでシュノーケリングをしたことがあるのだが、あの時とは全く比べ物にならない素晴らしさだった。また機会があったらアメッドに行ってみたい。勿論、海を見ながらのんびり、そしてシュノーケリングをするために。
バリでの楽しみが増えた。
(滞在していたホテルのプール。なんとなくバリ・クリフを連想させる)
【初心者から初心者への注意】ビーチからエントリーするシュノーケリングを楽しむ場合、あまり調子に乗って泳ぎ進めていくと、いきなり海底がガクンと落ち込んでいる場所がある、そこから先は流れが速いらしいので引き返した方がいい。ま、あの光景を見たらシュノーケリングの軽装備では進む気にはならないと思うが…
また、魚に見とれて珊瑚礁の隙間に分け入っていくと、いきなり行き止まりになり、引き返そうにもターンするスペースすらないような狭い場所に突き当たって往生することもあるので、絶えず退路を確保し、周囲の状況を良く見て、「この先に進むべきか引き返すべきか」を判断するべきだと思う。俺自身がそういう状況に陥って往生した。結局、海面から珊瑚までの距離が50センチ程の隙間を見つけ、どうにか脱出したが。あ、勿論珊瑚には接触すらしていません。
「今日のご予定は?」
「ないよ。いや、ある。海を見ながらビールを飲む!」
「…ダイビングはされないんですか?」
「免許を持っていない」
「シュノーケリングは?」
「興味ないなぁ」
「…ダイビングもシュノーケリングもしないなんて…アメッドに来た意味ありませんよ?」
「いいんだよ。この景色だけでも充分だ」
朝食を済まし、再びベランダで脳内不純物の浄化(ぼーっとするだけ)を行っていると、隣人が話しかけてきた。
「もう潜ってみました?」
「いや、ダイビングの免許は持っていないんでね」
「それは残念です…この沖は回遊魚のルートになっていて、マグロの群れや、鯨も通過するんですよ」
「ほ~…」
「ナポレオン・フィッシュに遭遇することもありますよ」
「はぁ~…」
「とにかく豊かな海なんですよ」
「ふ~ん…」
「せめてシュノーケリングだけでもしてみてはいかがですか?」
「いや、この景色があれば充分だよ」
「そんな、もったい無い…シュノーケリングすらしないなんて、アメッドに来た意味ありませんよ?」
「…」
「ビーチからのエントリーでも充分楽しめますから、絶対に試してみるべきです!」
「あ、そう。考えておくよ」
若干、めんどくせぇなぁ、と思いつつ、昼ビールを飲むために近所のカフェに出かけた。ここからの眺めもまた絶景である。俺の部屋からは見えない海岸線が、ここからは20メートル近く下に望むことが出来る。
生ビンタンを飲みながらぼ~っとしていると、若い従業員が話しかけてきた。
「ダイビングはしないんですか?(またかよ)」
「ライセンス持っていないし」
「シュノーケリングはしましたか?(またまたかよ)」
「いや」
「…何しにアメッドに来たんですか?(決まり文句かよ!)」
「海を見ながらこいつ(ビール)を飲むために来たんだよ!」
うざったいなぁ、と思いつつ、沖を眺めていると、海岸から離れた沖合で、何かがブシューと水煙を吹き上げた…
「あ、あれ…」
「え?何ですか?」
「あれ、もしかして鯨?」
「ああ、そうですね」
「よく見られるの?」
「ええ。しょっちゅうですよ」
「は~…」
遠くからとはいえ、野生の鯨を見たのは初めてである。ちょっと感動。
ふと眼下の海岸線に目を転じると、透明度の高い海のあちこちに岩のようなものが見える。
「あのさ」
「え、なんですか?」
「あの岩みたいなもの、もしかして珊瑚礁?」
「ええ、そうですよ。ほら、お客さんがシュノーケリングしてます」
よくよく目を凝らしてみると、魚が群れを成して珊瑚礁の周囲を移動しているのがわかる…
俺の胸の奥で何かがざわざわと動き始まった…
いかん…いかん…この海は俺を呼んでいる…
決めた!
宿に戻り、従業員と相談。
「シュノーケリングをやってみたい」
「その気になりましたか」
「いいポイントをおしえてくれ」
「ビーチからのエントリーでも充分な場所があります。ご案内しましょう」
「よろしく頼む」
従業員の運転するバイクで連れて行かれたビーチはホテルから10分程。宿で借りた装備を装着し、エントリー。
そこには、俺の予想をはるかに超えた素晴らしい光景が広がっていた!!岸から10メートル程度離れただけで色鮮やかな珊瑚の群生。子供の頃図鑑で見ていた熱帯魚がうようよ。見たこともない熱帯魚もひらひら。砂地にはガーデン・イールが海草のように揺れ、コバルトスズメダイは俺の眼下を群れをなして舞踊り、色も鮮やかなベラ科の魚、カワハギ科の魚の種類も豊富、チョウチョウウオの類に関しては何をかいわんや。ひときわサイケデリックな模様のブダイの一種、長さ50センチ程のオレンジ色のヘラヤガラが目の前を横切り、エイは砂地を滑るように泳ぐ。
結局、1時間ほどの短い時間で2回エントリーし、存分に楽しんできた。いったい何十種類の魚、そして何千匹の魚を見たんだろう?いや、もしかしたら万を超えているかも。写真が無いのが残念である。
実は、過去に一回だけバリの某地で同じくビーチからのエントリーでシュノーケリングをしたことがあるのだが、あの時とは全く比べ物にならない素晴らしさだった。また機会があったらアメッドに行ってみたい。勿論、海を見ながらのんびり、そしてシュノーケリングをするために。
バリでの楽しみが増えた。
【初心者から初心者への注意】ビーチからエントリーするシュノーケリングを楽しむ場合、あまり調子に乗って泳ぎ進めていくと、いきなり海底がガクンと落ち込んでいる場所がある、そこから先は流れが速いらしいので引き返した方がいい。ま、あの光景を見たらシュノーケリングの軽装備では進む気にはならないと思うが…
また、魚に見とれて珊瑚礁の隙間に分け入っていくと、いきなり行き止まりになり、引き返そうにもターンするスペースすらないような狭い場所に突き当たって往生することもあるので、絶えず退路を確保し、周囲の状況を良く見て、「この先に進むべきか引き返すべきか」を判断するべきだと思う。俺自身がそういう状況に陥って往生した。結局、海面から珊瑚までの距離が50センチ程の隙間を見つけ、どうにか脱出したが。あ、勿論珊瑚には接触すらしていません。
by rosinambu
| 2008-12-01 07:22
| バリ
|
Comments(14)
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seniman
at 2008-12-01 09:38
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南部さんがサカナ君に変身してしまった!?
バリに行く目的が浮き世の人と同じに
なる日が近い(笑)
バリに行く目的が浮き世の人と同じに
なる日が近い(笑)
0
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グスティ
at 2008-12-01 12:43
x
rosinambuさん、おかいんなさい!
なんだぁ、長い間バリに行っていたと思ったら、
潜ったんですねぇ。
昨日までの記事の流れを見事に裏切っていただき、感動です。
私もこの夏、ムンジャンガンでシュノーケリングしてきました。
楽しいですよね。
この海を見ていたら、泳げない人でない限り
潜っちゃいますって。
拠点のUBUDの近場にこんなところが無いのがきついなぁ。
ガムランと海があれば他に何もいらないですね。
おっと、ぼぅーとする時間とお食事の時間は除きますけどね。
ギリ・メノもいいですよ!
なんだぁ、長い間バリに行っていたと思ったら、
潜ったんですねぇ。
昨日までの記事の流れを見事に裏切っていただき、感動です。
私もこの夏、ムンジャンガンでシュノーケリングしてきました。
楽しいですよね。
この海を見ていたら、泳げない人でない限り
潜っちゃいますって。
拠点のUBUDの近場にこんなところが無いのがきついなぁ。
ガムランと海があれば他に何もいらないですね。
おっと、ぼぅーとする時間とお食事の時間は除きますけどね。
ギリ・メノもいいですよ!
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rosinambu at 2008-12-01 15:54
senimanさん、こんにちは。
俺がサカナ君に変身って…(笑)
実はダイビングこそしないものの、魚を見るのは大好きなんですよ。子供の頃は動物園より水族館の方が好きだったな…
あ、ちなみに私は間違いなく浮世の人です。決して仙人ではありませんんので(笑)
俺がサカナ君に変身って…(笑)
実はダイビングこそしないものの、魚を見るのは大好きなんですよ。子供の頃は動物園より水族館の方が好きだったな…
あ、ちなみに私は間違いなく浮世の人です。決して仙人ではありませんんので(笑)
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rosinambu at 2008-12-01 16:04
グスティさん、こんにちは。噂によると、ムンジャガンも素晴らしいみたいですね。
そう、拠点のウブド近辺にいい海がないのは辛いんですよね。パダン・バイも結構いい、という話を聴いたことがあります。あそこなら、ウブドから2時間弱くらいかなぁ…
あ!レンボンガン島なんかどうなんだろう?海面からしか見たことありませんが、かなり透明度も高く、珊瑚礁も発達し、魚も豊富にいたような記憶があります。
いずれにせよ、最低一泊は必要ですね…
そう、拠点のウブド近辺にいい海がないのは辛いんですよね。パダン・バイも結構いい、という話を聴いたことがあります。あそこなら、ウブドから2時間弱くらいかなぁ…
あ!レンボンガン島なんかどうなんだろう?海面からしか見たことありませんが、かなり透明度も高く、珊瑚礁も発達し、魚も豊富にいたような記憶があります。
いずれにせよ、最低一泊は必要ですね…
今回、nambuさんは随分とお忙しかったみたいですが、
アメッドでは存分に”息抜き”できたようで何よりでした。
グスティさんもお久しぶりです~
今、身近なバリ島リピーターの方々が、
続々とアメッドかムンジャンガンに向かっている気がします。
ウブドにはもともとないもの(海)も引力になっていますが、
ウブドでは失われてしまったものも・・・あるような。
アメッドでは存分に”息抜き”できたようで何よりでした。
グスティさんもお久しぶりです~
今、身近なバリ島リピーターの方々が、
続々とアメッドかムンジャンガンに向かっている気がします。
ウブドにはもともとないもの(海)も引力になっていますが、
ウブドでは失われてしまったものも・・・あるような。
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rosinambu at 2008-12-02 17:03
AYAKOさん、こんにちは。
そう、今までに無く忙しかったんですよ。スケジュール表をつけていたくらいでした。
確かに、アメッドにはウブドが急発展を遂げる前のなんか「緩い」ところが残っていていいですね。でも、アメッドからガムランの演奏にウブドに通うのはきついなぁ…
そう、今までに無く忙しかったんですよ。スケジュール表をつけていたくらいでした。
確かに、アメッドにはウブドが急発展を遂げる前のなんか「緩い」ところが残っていていいですね。でも、アメッドからガムランの演奏にウブドに通うのはきついなぁ…
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tidakapa-apa at 2008-12-02 21:10
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rosinambu at 2008-12-02 23:33
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at 2008-12-03 20:28
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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rosinambu at 2008-12-03 20:55
鍵コメさん、正しいです。
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at 2008-12-03 20:57
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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rosinambu at 2008-12-03 21:24
鍵コメさん、メールを送りました。ご確認ください。
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ゆみかげ
at 2008-12-06 14:17
x
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rosinambu at 2008-12-06 16:17
ゆみかげさん、こんにちは。
是非是非、一度いってみて下さい。あ、水中で鼻血は出さないでくださいね。おぼれそうですから。
そういえば、十数年前に「シュノーケリングをやった」と報告したら、目を丸くして聞き入り、その後約5分間、「助けて…お腹痛い…死ぬ…」と、爆笑してくれましたっけ…
あれだけ喜んでもらえて本望でした。 ^^;
是非是非、一度いってみて下さい。あ、水中で鼻血は出さないでくださいね。おぼれそうですから。
そういえば、十数年前に「シュノーケリングをやった」と報告したら、目を丸くして聞き入り、その後約5分間、「助けて…お腹痛い…死ぬ…」と、爆笑してくれましたっけ…
あれだけ喜んでもらえて本望でした。 ^^;