2009年 11月 09日
怖い話(其の二) |
これもまた昔の話であるが。
たしかヤマサリが来日公演に向けて連日リハーサルを行っていたときだと思う。リハーサル会場のあるアンドン・ステージに行く途中にあるウブド警察署のあたりが渋滞、騒然としていた。その辺にいた野次馬に話を聞くと、なんでも泥棒がバイクを盗んでここまで逃走して来たものの、追手を振り切れず、ここでバイクを乗り捨て、走って逃げたのだ、という。
リハーサル会場となるアンドン・ステージにつくと、やはり泥棒の話でもちきりだった。
「泥棒がこの辺を逃げ回っているらしいですけど…」
「ああ。多分、裏手の田圃のどこかに潜んでいるはずだ」
「よりにもよって警察署の前でバイクを放棄するなんて、なんて間抜けな泥棒なんでしょうね」
「なに言ってんだ?お前?」
「へ?」
「泥棒の判断は正しいよ。もう逃げ切れない、と思って警察に保護を求めるつもりだったんだろう」
「え?」
「追っ手に捕まったら殺されるかもしれないからな」
「まさか、いくらなんでもそこまでは…」
「やるよ。ためらわずやる。あっちも必死だからな」
「…」
しばらくの後、リハーサル会場の裏手から大声があがった。どうやら泥棒がみつかったらしい。
と、俺達の目の前を血相を変えた男達が手に手に刃物を持って凄い勢いで走り抜けていった。いやぁ、これから人を殺しに行く人間の形相ってのは凄まじい…
メンバーがぼそっと一言。
「あ~あ、かわいそうに…」
こえ~
何が怖いって、いくら犯罪者とはいえ今まさに目と鼻の先で人が殺されるかもしれないのに、「かわいそうに」のひとことで済まされてしまうところが…
こ、こえ~
たしかヤマサリが来日公演に向けて連日リハーサルを行っていたときだと思う。リハーサル会場のあるアンドン・ステージに行く途中にあるウブド警察署のあたりが渋滞、騒然としていた。その辺にいた野次馬に話を聞くと、なんでも泥棒がバイクを盗んでここまで逃走して来たものの、追手を振り切れず、ここでバイクを乗り捨て、走って逃げたのだ、という。
リハーサル会場となるアンドン・ステージにつくと、やはり泥棒の話でもちきりだった。
「泥棒がこの辺を逃げ回っているらしいですけど…」
「ああ。多分、裏手の田圃のどこかに潜んでいるはずだ」
「よりにもよって警察署の前でバイクを放棄するなんて、なんて間抜けな泥棒なんでしょうね」
「なに言ってんだ?お前?」
「へ?」
「泥棒の判断は正しいよ。もう逃げ切れない、と思って警察に保護を求めるつもりだったんだろう」
「え?」
「追っ手に捕まったら殺されるかもしれないからな」
「まさか、いくらなんでもそこまでは…」
「やるよ。ためらわずやる。あっちも必死だからな」
「…」
しばらくの後、リハーサル会場の裏手から大声があがった。どうやら泥棒がみつかったらしい。
と、俺達の目の前を血相を変えた男達が手に手に刃物を持って凄い勢いで走り抜けていった。いやぁ、これから人を殺しに行く人間の形相ってのは凄まじい…
メンバーがぼそっと一言。
「あ~あ、かわいそうに…」
こえ~
何が怖いって、いくら犯罪者とはいえ今まさに目と鼻の先で人が殺されるかもしれないのに、「かわいそうに」のひとことで済まされてしまうところが…
こ、こえ~
by rosinambu
| 2009-11-09 13:25
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