2009年 10月 06日
バンドって楽しい |
バンドをやっていると色々と面白いことや面白くないこと、当時は面白くなくとも振り返ると面白かったこともあったりする。
10年くらい前の話になる。
当時やっていたバンドのメンバーはリハーサルの集合時間にひっじょーにルーズだった。30分、1時間の遅刻は当たり前、リハーサルが終わる頃にやってきて、ミーティング(飲み会)だけに参加するようなバカなことをする奴もいた。
勿論、ほとんどのメンバーが定職を持っており、急な仕事が理由で遅刻、欠席することも皆無ではなかったが、それ以上にリハーサルの時間を軽んじていたことは間違いない。いつまで待っても来ないメンバーの自宅に電話をすると本人が出て「え?今日リハだっけ?」などというトホホな返事が返ってくることもあった。
また、一回のリハーサルに半日くらいスタジオを予約していたのも災いしていた。「どうせみんな遅れるんだから俺も遅れていいや。それにスタジオは半日とってあるし、最後の1時間くらい顔をだせばいいだろ」ってな感じで、どんどんと集合時間が遅くなっていった。
元々時間に関してはシビアな俺はこの傾向が我慢ならず、そんなこんなでスタジオに入る度に、いや、入る日はその前からイライラしていた。いつスタジオに行っても一番乗りなのである。
ある時、「俺が時間通りに行くからイライラするんだ。これからはわざと遅れていこう」と決め、わざと一時間ほど遅れ、「いやぁ、ごめんごめん」と、スタジオに入ったら…まだ誰もいなかった…
俺の負けだよ。
また、ライブを目前に控えたある時、ぱったりとベーシストがスタジオにやってこなくなった。電話をしても連絡が取れない。そのまま、ライブ前日のリハにも顔を見せなかった。
「幸いにも俺以外にもギタリストはいる。しかしベース不在ではステージが成立しない…」
そう判断した俺は、リード・ギターを他のメンバーに任せ、自らベースへのスイッチを申し出た。
「お前がベースを弾くって…お前、弾けんのか?」
「ああ。俺は元々ベース弾きだったからな。幸いにもまだ自宅にも楽器はあるし、少し練習すりゃ思い出すだろう」
「そうか…でも、明日までに演奏予定の曲のベース・パートを全部覚えられるのか?」
「徹夜でやるしかねぇだろ」
「徹夜って…お前…大丈夫か?」
実はこの時、俺は酷い風邪をひいており、立っているのが辛い程の高熱が出ていたのだ。
「とにかくだ、げほげほ。誰かがベース弾かなきゃなんねぇだろ。げほげほ」
「そりゃそうだが…お前、本当に大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ!げほげほげほ…今からすぐベース・パートの練習を始めなきゃならんから俺は帰る。げほげほ…おぇっ…」
自宅に戻った俺はすぐさま演奏予定曲のベース・パートを簡易的に採譜しはじめた。暗譜で演奏出来るようになるまでの練習を含め、一曲に一時間以上かけられない。時間との戦い。最終的に「これならどうにかいけるだろう」というところに到達した時は既に夜が明けていた。熱のせいか睡眠不足のせいか短時間に集中練習したためか、ぐらぐらする頭で昼から最終リハーサルを行い、楽器車に乗り込み俺達はライブ会場に向った。
ライブ会場に到着した俺達は目を疑った。ベーシストが楽器を携えこちらに向って手を振っていたのだ!にこにこ笑いやがって、全然反省の色なし。自分が置かれている立場を理解していないようだ。俺達は車中で相談し始まった。
「あの野郎…許せねぇ…」
「おい、どうする?」
「どうするもこうするもねぇだろ」
「ああ、辞めてもらうしかねぇな」
「クビだな」
「ああ、クビに決まってんだろ」
「だな」
しかし、俺の怒りは奴をクビにしただけでは納まりそうになかった。げほげほ。俺は車を降りようとしているメンバーに宣言した。
「おい、俺はあいつを殴る。げほげほ」
「え?」
「冗談で言っているんじゃない。本気で殴りに行く。げほげほ」
「いや、気持ちはわかるけど…ライブ前に手を怪我したら元も子もないだろ」
「…そうだな。じゃ、蹴飛ばす。手加減はしない。げほげほ」
「…まぁ、しょうがねぇか…」
「俺としても本意じゃねぇが、このままじゃ腹の虫がおさまらねぇ」
「そりゃそうだろうなぁ…」
「だから、お前が先に奴のところに行って、俺が本気で蹴飛ばすつもりだってことを伝えてくれ。げほげほ」
「え?」
「奴をボコボコにする事が目的じゃねぇんだ。ただ、どうしても怒りがおさまんねぇんだ。奴を罵倒しながら2,3回程度空振りすれば気がすむだろう。怪我をしないようにうまくかわせって言っといてくれ。げほげほ」
「…わかった」
メンバー達は俺を残して車から降り、奴の元に歩み寄った。リーダーがクビ宣言をしたようだ。奴がうなだれている。続いてドラマーがなにやら話している。奴は驚いた表情で俺の方を見た。伝令は伝えられたようだ。よし、今だな。
車を降りると奴が逃げ出した。
「あ、待てこのヤロー!」
「やめてくれよ~」
「お前はおとなしく俺の蹴りをよけてりゃいいんだよ!」
「じゃ、当たらないように蹴ってくれ~」
「バカ!そんなこと出来るか。本気で蹴るに決まってんだろ!」
「や、や、やめてくれ~!」
ドカッ
あ、当たった。
いやぁ、バンドって楽しいなぁ。(本気)
10年くらい前の話になる。
当時やっていたバンドのメンバーはリハーサルの集合時間にひっじょーにルーズだった。30分、1時間の遅刻は当たり前、リハーサルが終わる頃にやってきて、ミーティング(飲み会)だけに参加するようなバカなことをする奴もいた。
勿論、ほとんどのメンバーが定職を持っており、急な仕事が理由で遅刻、欠席することも皆無ではなかったが、それ以上にリハーサルの時間を軽んじていたことは間違いない。いつまで待っても来ないメンバーの自宅に電話をすると本人が出て「え?今日リハだっけ?」などというトホホな返事が返ってくることもあった。
また、一回のリハーサルに半日くらいスタジオを予約していたのも災いしていた。「どうせみんな遅れるんだから俺も遅れていいや。それにスタジオは半日とってあるし、最後の1時間くらい顔をだせばいいだろ」ってな感じで、どんどんと集合時間が遅くなっていった。
元々時間に関してはシビアな俺はこの傾向が我慢ならず、そんなこんなでスタジオに入る度に、いや、入る日はその前からイライラしていた。いつスタジオに行っても一番乗りなのである。
ある時、「俺が時間通りに行くからイライラするんだ。これからはわざと遅れていこう」と決め、わざと一時間ほど遅れ、「いやぁ、ごめんごめん」と、スタジオに入ったら…まだ誰もいなかった…
俺の負けだよ。
また、ライブを目前に控えたある時、ぱったりとベーシストがスタジオにやってこなくなった。電話をしても連絡が取れない。そのまま、ライブ前日のリハにも顔を見せなかった。
「幸いにも俺以外にもギタリストはいる。しかしベース不在ではステージが成立しない…」
そう判断した俺は、リード・ギターを他のメンバーに任せ、自らベースへのスイッチを申し出た。
「お前がベースを弾くって…お前、弾けんのか?」
「ああ。俺は元々ベース弾きだったからな。幸いにもまだ自宅にも楽器はあるし、少し練習すりゃ思い出すだろう」
「そうか…でも、明日までに演奏予定の曲のベース・パートを全部覚えられるのか?」
「徹夜でやるしかねぇだろ」
「徹夜って…お前…大丈夫か?」
実はこの時、俺は酷い風邪をひいており、立っているのが辛い程の高熱が出ていたのだ。
「とにかくだ、げほげほ。誰かがベース弾かなきゃなんねぇだろ。げほげほ」
「そりゃそうだが…お前、本当に大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ!げほげほげほ…今からすぐベース・パートの練習を始めなきゃならんから俺は帰る。げほげほ…おぇっ…」
自宅に戻った俺はすぐさま演奏予定曲のベース・パートを簡易的に採譜しはじめた。暗譜で演奏出来るようになるまでの練習を含め、一曲に一時間以上かけられない。時間との戦い。最終的に「これならどうにかいけるだろう」というところに到達した時は既に夜が明けていた。熱のせいか睡眠不足のせいか短時間に集中練習したためか、ぐらぐらする頭で昼から最終リハーサルを行い、楽器車に乗り込み俺達はライブ会場に向った。
ライブ会場に到着した俺達は目を疑った。ベーシストが楽器を携えこちらに向って手を振っていたのだ!にこにこ笑いやがって、全然反省の色なし。自分が置かれている立場を理解していないようだ。俺達は車中で相談し始まった。
「あの野郎…許せねぇ…」
「おい、どうする?」
「どうするもこうするもねぇだろ」
「ああ、辞めてもらうしかねぇな」
「クビだな」
「ああ、クビに決まってんだろ」
「だな」
しかし、俺の怒りは奴をクビにしただけでは納まりそうになかった。げほげほ。俺は車を降りようとしているメンバーに宣言した。
「おい、俺はあいつを殴る。げほげほ」
「え?」
「冗談で言っているんじゃない。本気で殴りに行く。げほげほ」
「いや、気持ちはわかるけど…ライブ前に手を怪我したら元も子もないだろ」
「…そうだな。じゃ、蹴飛ばす。手加減はしない。げほげほ」
「…まぁ、しょうがねぇか…」
「俺としても本意じゃねぇが、このままじゃ腹の虫がおさまらねぇ」
「そりゃそうだろうなぁ…」
「だから、お前が先に奴のところに行って、俺が本気で蹴飛ばすつもりだってことを伝えてくれ。げほげほ」
「え?」
「奴をボコボコにする事が目的じゃねぇんだ。ただ、どうしても怒りがおさまんねぇんだ。奴を罵倒しながら2,3回程度空振りすれば気がすむだろう。怪我をしないようにうまくかわせって言っといてくれ。げほげほ」
「…わかった」
メンバー達は俺を残して車から降り、奴の元に歩み寄った。リーダーがクビ宣言をしたようだ。奴がうなだれている。続いてドラマーがなにやら話している。奴は驚いた表情で俺の方を見た。伝令は伝えられたようだ。よし、今だな。
車を降りると奴が逃げ出した。
「あ、待てこのヤロー!」
「やめてくれよ~」
「お前はおとなしく俺の蹴りをよけてりゃいいんだよ!」
「じゃ、当たらないように蹴ってくれ~」
「バカ!そんなこと出来るか。本気で蹴るに決まってんだろ!」
「や、や、やめてくれ~!」
ドカッ
あ、当たった。
いやぁ、バンドって楽しいなぁ。(本気)
by rosinambu
| 2009-10-06 11:41
| 日常
|
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