2012年 09月 21日
そのフレンドリーさに「誠意」はあるか? |
バリでは、地元の人たちが外国人(観光客)に、面識がなくとも「声かけ」をすることがしばしばある。この「声かけ」は挨拶の形式を取っており、その文句こそ時間、状況によって様々だが、社交辞令以上の意味はなく、それらの大意は「やあ」である。そして、返答の文句にもほぼ定型があり、これも時間、状況によって様々だが、それらの大意は「どうも」と、受け取られる。(って、まったく同じ事をどこかで書いた記憶があるが)
しかし、全ての人が好意的に声掛けをしているわけではない。社交辞令ならまだしも、中にはフレンドリーなふりしてその実は旅行者を小馬鹿にしている連中も少なからずいる。俺自身もぞんざいな扱いを受けて腹を立てた事も1度や2度ではない。
例えば。
道を歩いていると、路肩に座っている面識の無いにやけた野郎から「アパ・カッバ~ル?(お元気ですかぁ~?)」と、明らかにふざけた調子で声をかけられる。いらつきながらも足を止め、「カバール・バイク(元気ですよ)」と律儀に返事をすると、当の本人は既に他の外国人に「アパ・カッバ~ル?」なんて愛想を振りまいていたりする。
これは実際やられてみるとかなりムカつく。ま、初対面の相手にまともな挨拶をしない奴にろくな奴がいないのは当たり前であり、そんなスカタンの声かけに反応した方もどうかしているのであるが。
ま、それはともかく。
たしかあれは10年以上前、時刻は夜中を過ぎていたと思う。オダランでの演奏が終わり、楽団のメンバーに途中までバイクで送ってもらい、定宿まであと50メートル程度に差し掛かったところで、顔見知りの悪ガキどもが5〜6人、車通りのなくなった路上で宴会をしていた。みんな俺に気がついたようで、「よう」と、手を挙げてきた。
一応断っておくが、『悪ガキ』と言ってもおそらくみんな30過ぎだ。本当にガキの頃から知っているので、俺の中では未だに『悪ガキ』なのである。
が、中に一人だけ知らない顔がいた。TATOOだらけの長髪で、全身から『ろくな奴じゃない』オーラを発散させていた。こんな風体の悪い奴が身近にいたら気がつきそうなもんだが、悪ガキ共が普通に相手をしているところから察するに、普段はビーチ・エリアに住み、外国人相手によからぬことを企んでいるような者が一時的に帰省でもしているのだろう。かなり酔っぱらっているようだ。知り合いの悪ガキ達も「おい、こいつに関るな。早く帰れ」と、目配せしてくれたが、肝心の奴が俺に絡んできやがった。
「ダリマ~ナ~?」(ど〜こから来たんだよぉ~?)
だらしなく語尾を延ばしやがって、明らかに外国人と見て小馬鹿にしてやがる。むかついたのでちょっと相手をしてやることにした(実は俺は結構気が短い)。
「見てなかったのかよ?あっちから来たんだ」
「クマ~ナ~?」(ど〜こに行くんだよぉ~?)
「あっちから来たんだからそっちに行くに決まってんだろ。一本道だろうが」
どうやら、奴にも俺が喧嘩上等体勢に入っているということが伝わったようだ。
「お前はどこの国から来たのかって訊いてんだよ」
「そんなことわかってるよ。日本人だってことくらいわかんねぇのかよ」
悪ガキ共に、「あ~あ、はじまっちまったか。しょうがねぇなぁ、少し飲むか?」と、促され、渡されたグラスに注がれていたのはアラック(焼酎)のコーラ割。当然、氷無し。げ、コーラ比率が高くて甘すぎて飲めねぇ。
「なんだこりゃ」
「アラックだよ。飲んだ事ねぇのかよ」
「アラックくらい知ってるよ。こんな甘い酒、飲めるか。おい、ストレートでくれ」
「すごく強いぞ。いいのか?」
「いいんだよ。(カプッ)う~ん、これはペジェンのアラックか?」
「そうだが、なんで解った?」
「知り合いにペジェンでアラックをつくっている奴がいるからな。奴のアラックに良く似ている」
「なんて名前の職人だ?」
「えーっと、なんつったかな?髭が凄く濃くて、痩せていて背の低い奴だ」
「あ、そいつから買った」
「じゃ、似ていて当たり前か。ははは」
TATOO野郎を無視して盛り上がっていたのが面白くなかったのか、奴が挑戦的に話に割り込んで来た。
「おい、お前、日本のどこに住んでんだよ?」
「東京だ」
「そうか。東京にはな、俺の女がいるんだ(誇らしげ)。○○○ってんだ」
「ほう、そうかい(やっぱりジゴロだったか)」
「おまえ、○○○を知っているか?」
「ああ、知っているぜ。○○○ってのは俺のお袋だ」
「え?」
「おい、お前、東京にどれだけ人が住んでんのかわかってんのか?この島の3倍だぞ?○○○なんて平凡な名前の女、そこら中にいらぁ」
「・・・く・・・」
「それともお前、もしかして俺の親父なのか?ははははは」
「・・・う・・・」
「いやぁ、こんなところで親父にあえるなんて感激だなぁ。なぁ、みんな、ははは」
「はははは」
「はははは」
「・・・くそっ・・・」
「さて、これ以上お前と話しても面白い事はなさそうだ。俺は帰る。あ、これ、俺が飲んだアラック代な」
「おい、待ちやがれ!」
「あ、立ち上がってまで見送りすることはない。宴会を続けろよ。お前はかなり飲んでいるようだが、まだまだ飲めそうじゃないか。頑張って飲めよ。明日の朝、お前がここでゲロ吐いて酔いつぶれているのを見に来てやる。じゃあな」
歩き去る俺の背中に奴が捨て台詞。
「HEY! FUCK YOU MAN!」
振り向きもせず静かに中指を立てる俺。
奴は本気で怒っていたようだが、悪ガキ共は大爆笑。わはははは。
それにしてもなんで罵言だけ英語なんだ。ははは。
注意喚起:俺の場合、奴が殴り掛かって来たとしても周りの連中が止めるであろうことが解っていたから相手をしてやったが、こういう無謀なことは絶対お勧めできません。夜中に路上でたむろして宴会している奴にろくな奴がいない(確率が高い)のは当然。そういう状況で声をかけられたらさっさと無視しましょう。
しかし、全ての人が好意的に声掛けをしているわけではない。社交辞令ならまだしも、中にはフレンドリーなふりしてその実は旅行者を小馬鹿にしている連中も少なからずいる。俺自身もぞんざいな扱いを受けて腹を立てた事も1度や2度ではない。
例えば。
道を歩いていると、路肩に座っている面識の無いにやけた野郎から「アパ・カッバ~ル?(お元気ですかぁ~?)」と、明らかにふざけた調子で声をかけられる。いらつきながらも足を止め、「カバール・バイク(元気ですよ)」と律儀に返事をすると、当の本人は既に他の外国人に「アパ・カッバ~ル?」なんて愛想を振りまいていたりする。
これは実際やられてみるとかなりムカつく。ま、初対面の相手にまともな挨拶をしない奴にろくな奴がいないのは当たり前であり、そんなスカタンの声かけに反応した方もどうかしているのであるが。
ま、それはともかく。
たしかあれは10年以上前、時刻は夜中を過ぎていたと思う。オダランでの演奏が終わり、楽団のメンバーに途中までバイクで送ってもらい、定宿まであと50メートル程度に差し掛かったところで、顔見知りの悪ガキどもが5〜6人、車通りのなくなった路上で宴会をしていた。みんな俺に気がついたようで、「よう」と、手を挙げてきた。
一応断っておくが、『悪ガキ』と言ってもおそらくみんな30過ぎだ。本当にガキの頃から知っているので、俺の中では未だに『悪ガキ』なのである。
が、中に一人だけ知らない顔がいた。TATOOだらけの長髪で、全身から『ろくな奴じゃない』オーラを発散させていた。こんな風体の悪い奴が身近にいたら気がつきそうなもんだが、悪ガキ共が普通に相手をしているところから察するに、普段はビーチ・エリアに住み、外国人相手によからぬことを企んでいるような者が一時的に帰省でもしているのだろう。かなり酔っぱらっているようだ。知り合いの悪ガキ達も「おい、こいつに関るな。早く帰れ」と、目配せしてくれたが、肝心の奴が俺に絡んできやがった。
「ダリマ~ナ~?」(ど〜こから来たんだよぉ~?)
だらしなく語尾を延ばしやがって、明らかに外国人と見て小馬鹿にしてやがる。むかついたのでちょっと相手をしてやることにした(実は俺は結構気が短い)。
「見てなかったのかよ?あっちから来たんだ」
「クマ~ナ~?」(ど〜こに行くんだよぉ~?)
「あっちから来たんだからそっちに行くに決まってんだろ。一本道だろうが」
どうやら、奴にも俺が喧嘩上等体勢に入っているということが伝わったようだ。
「お前はどこの国から来たのかって訊いてんだよ」
「そんなことわかってるよ。日本人だってことくらいわかんねぇのかよ」
悪ガキ共に、「あ~あ、はじまっちまったか。しょうがねぇなぁ、少し飲むか?」と、促され、渡されたグラスに注がれていたのはアラック(焼酎)のコーラ割。当然、氷無し。げ、コーラ比率が高くて甘すぎて飲めねぇ。
「なんだこりゃ」
「アラックだよ。飲んだ事ねぇのかよ」
「アラックくらい知ってるよ。こんな甘い酒、飲めるか。おい、ストレートでくれ」
「すごく強いぞ。いいのか?」
「いいんだよ。(カプッ)う~ん、これはペジェンのアラックか?」
「そうだが、なんで解った?」
「知り合いにペジェンでアラックをつくっている奴がいるからな。奴のアラックに良く似ている」
「なんて名前の職人だ?」
「えーっと、なんつったかな?髭が凄く濃くて、痩せていて背の低い奴だ」
「あ、そいつから買った」
「じゃ、似ていて当たり前か。ははは」
TATOO野郎を無視して盛り上がっていたのが面白くなかったのか、奴が挑戦的に話に割り込んで来た。
「おい、お前、日本のどこに住んでんだよ?」
「東京だ」
「そうか。東京にはな、俺の女がいるんだ(誇らしげ)。○○○ってんだ」
「ほう、そうかい(やっぱりジゴロだったか)」
「おまえ、○○○を知っているか?」
「ああ、知っているぜ。○○○ってのは俺のお袋だ」
「え?」
「おい、お前、東京にどれだけ人が住んでんのかわかってんのか?この島の3倍だぞ?○○○なんて平凡な名前の女、そこら中にいらぁ」
「・・・く・・・」
「それともお前、もしかして俺の親父なのか?ははははは」
「・・・う・・・」
「いやぁ、こんなところで親父にあえるなんて感激だなぁ。なぁ、みんな、ははは」
「はははは」
「はははは」
「・・・くそっ・・・」
「さて、これ以上お前と話しても面白い事はなさそうだ。俺は帰る。あ、これ、俺が飲んだアラック代な」
「おい、待ちやがれ!」
「あ、立ち上がってまで見送りすることはない。宴会を続けろよ。お前はかなり飲んでいるようだが、まだまだ飲めそうじゃないか。頑張って飲めよ。明日の朝、お前がここでゲロ吐いて酔いつぶれているのを見に来てやる。じゃあな」
歩き去る俺の背中に奴が捨て台詞。
「HEY! FUCK YOU MAN!」
振り向きもせず静かに中指を立てる俺。
奴は本気で怒っていたようだが、悪ガキ共は大爆笑。わはははは。
それにしてもなんで罵言だけ英語なんだ。ははは。
注意喚起:俺の場合、奴が殴り掛かって来たとしても周りの連中が止めるであろうことが解っていたから相手をしてやったが、こういう無謀なことは絶対お勧めできません。夜中に路上でたむろして宴会している奴にろくな奴がいない(確率が高い)のは当然。そういう状況で声をかけられたらさっさと無視しましょう。
by rosinambu
| 2012-09-21 16:19
| バリ
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