2012年 05月 09日
スリン |
荷物整理中に出てきた大量のスリン。
この内、3本は、バリの楽団で一緒に活動していたスリン奏者に、「このスリン、まとめて買ってくれないか?」と、持ちかけられたもの。話を訊くと、子供を病院に連れて行きたいのだが、先日ウパチャラがあって現金がほとんどない、とのこと。
「本当かよ?」などと疑ってはいけない。彼はウパチャラ・ゴン(ガムランの儀式)などには、手持ちの現金を全て寄付してしまう程の真っ正直なナイス・ガイなのだ。
そういうことなら多少高くとも引き取らにゃならんだろ、と、わずかばかりの覚悟を持って、「で、いくらくらい必要なんだ?」と訊いたところ、「え?そんなもんでいいの?」と、拍子抜けする額を言われた。せっかく言い値で引き取る姿勢をこちらがみせているのに高額を要求しなかったのは、本当に子供を病院に連れて行く為の現金のみが必要だったのだろう。その後も彼とはいい関係が続いている。後に何本かスリンをもらったこともあり、この写真の中にも少なくとも2本は含まれている。
中央に鎮座する一番でかいスリン・ガンブーは、スリン、ルバブを自宅で製作している職人にいただいたもの。その長さ1m弱。彼のルバブ作家としての腕の良さの評判を聞き、ルバブを2本オーダーしたところ、注文がたまっており、俺の残りバリ滞在中には納品出来そうにない、とのことだった。
「特別料金を払ってもいいのだが」と、持ちかけたが、「わしは注文を受けた順番に仕事をする」と、突っぱねられてしまった。頑固な職人魂に俺はあえなく撃沈。「金でどうにかならないか」と考えた自分が恥ずかしい。
どうしても彼の作ったルバブを入手したい俺は、注文を受けてもらって、次の来訪時に引き取ることにした。しかし、次回の予定が決まっておらず、いつ引き取れるか判らないまま注文しっぱなしではこちらの気がひける。そこで、全額前払いを申し出たのだが。
「引き渡す物もないのに金は受け取れない」
「支払える日も判らないのに注文は出来ない」
と、お互い譲らず、「う〜ん、じゃぁ、土産としてこれを持っていってくれ」と、妥協案として渡されたもの。かすれの少ない、太いいい音がする。
約1年の後、来訪したところ注文の品は俺が思っていた以上のクオリティで仕上がっていた。これが縁となり、当時、日本でやっていたリンディックの楽団用に4本、スリンをオーダーした。手前の2本目から5本目の短めの4本がそれ。
残りのスリン達にもそれぞれに思い出がある。たまには吹いてやらないとな。
この内、3本は、バリの楽団で一緒に活動していたスリン奏者に、「このスリン、まとめて買ってくれないか?」と、持ちかけられたもの。話を訊くと、子供を病院に連れて行きたいのだが、先日ウパチャラがあって現金がほとんどない、とのこと。
「本当かよ?」などと疑ってはいけない。彼はウパチャラ・ゴン(ガムランの儀式)などには、手持ちの現金を全て寄付してしまう程の真っ正直なナイス・ガイなのだ。
そういうことなら多少高くとも引き取らにゃならんだろ、と、わずかばかりの覚悟を持って、「で、いくらくらい必要なんだ?」と訊いたところ、「え?そんなもんでいいの?」と、拍子抜けする額を言われた。せっかく言い値で引き取る姿勢をこちらがみせているのに高額を要求しなかったのは、本当に子供を病院に連れて行く為の現金のみが必要だったのだろう。その後も彼とはいい関係が続いている。後に何本かスリンをもらったこともあり、この写真の中にも少なくとも2本は含まれている。
中央に鎮座する一番でかいスリン・ガンブーは、スリン、ルバブを自宅で製作している職人にいただいたもの。その長さ1m弱。彼のルバブ作家としての腕の良さの評判を聞き、ルバブを2本オーダーしたところ、注文がたまっており、俺の残りバリ滞在中には納品出来そうにない、とのことだった。
「特別料金を払ってもいいのだが」と、持ちかけたが、「わしは注文を受けた順番に仕事をする」と、突っぱねられてしまった。頑固な職人魂に俺はあえなく撃沈。「金でどうにかならないか」と考えた自分が恥ずかしい。
どうしても彼の作ったルバブを入手したい俺は、注文を受けてもらって、次の来訪時に引き取ることにした。しかし、次回の予定が決まっておらず、いつ引き取れるか判らないまま注文しっぱなしではこちらの気がひける。そこで、全額前払いを申し出たのだが。
「引き渡す物もないのに金は受け取れない」
「支払える日も判らないのに注文は出来ない」
と、お互い譲らず、「う〜ん、じゃぁ、土産としてこれを持っていってくれ」と、妥協案として渡されたもの。かすれの少ない、太いいい音がする。
約1年の後、来訪したところ注文の品は俺が思っていた以上のクオリティで仕上がっていた。これが縁となり、当時、日本でやっていたリンディックの楽団用に4本、スリンをオーダーした。手前の2本目から5本目の短めの4本がそれ。
残りのスリン達にもそれぞれに思い出がある。たまには吹いてやらないとな。
by rosinambu
| 2012-05-09 10:40
| バリ
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